おっとっと冬だぜ

広義の意味では日記だが、狭義的にはゴミ置き場

野球の知識をひけらかすおっさんの話

皆さんは、自分の含蓄ある発言によって周囲の人間から羨望の眼差しを向けられたい願望はお持ちではないでしょうか。


私は、物凄いあります。


何なら、ありすぎて困っています。


先日も、「法律で定められた保存期限が過ぎた公的な書類がたまりすぎて困っている」と申し出てきた部下に対して、
「あー その問題は、正に “キコリの森林伐採のジレンマ”だね」
と聞こえるか聞こえないか程度の声で呟いてから部下にどう処理すべきか指示を出したのですが、わざわざ部下の抱えている問題が、大昔に有名な数学者によって提唱された理論モデルと合致するケースであることを暗に伝え、無駄に自身の博識さをアピールするわけであります。


しかも、“キコリの森林伐採のジレンマ”などという有りもしない理論を勝手に作り出してまで、それをやるのです。正に、承認欲求の鬼であります。







そんな 羨望の眼差しを向けられたい願望が強すぎる私が、自身の欲求を解放できる場所、それがプロ野球観戦なのであります。

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私は大の野球ファンでありますが、最近、なんとなく気付いたのは私は野球が好きなのではなく、どうも野球知識をひけらかすのが好きなんじゃないかってことなんですね。


では、なぜプロ野球観戦が知識をひけらかすのに最適かというと、一般に知識をひけらかそうとした場合、ひけらかす相手にもそれなりの知的水準(知的探究心)が求められるわけでありますが、こと野球の場合、日本人は野球好きが多い国民ということもあり、野球議論がわりと容易にできるわけです。つまり、知識をひけらかすことができる機会に恵まれているのです。


また 野球は、知識の蓄積が非常に容易という面もあります。

例えば、野球ファン同士で、とある野球選手の話題で盛り上がっていたとしましょう。その野球サミットの中で、会話をしている他のメンバーに自分が最も発言力がある=野球知識が豊富であると思わせるには、たったひとつの知識的条件をクリアしていればいいのであります。







それは「アマチュア時代を知っている」という1点のみです。

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「アマチュア時代を生で見たことある」だと更にベストでありますが、とにかくアマチュア時代を知っていれば勝ちなのであります。野球の技術面に関する余計な知識は必要としません。とにかく見たことがあって、それを覚えていればいいのです。

インディーズ時代からライブに行っていたファンが最強なのと同じ理論であります。




野球サミットで他のメンバーが、昨シーズンの打率がどうだった とか、最近内角の裁き方が上手くなってきた みたいな会話をして、当該選手のプロ入り後の状況をしっかりチェックしていることをいくらアピールしてきたとしても、

「へー、高校時代は打力は非力で、目立つのは脚の方だったけど、プロでは打つ方も伸びてるんだ」

みたいな一言を放てば終了です。そのカードがフィールドに召喚された途端に、他のメンバーの手持ちカードは全て墓地に送られてターンエンドです。何ならプロ野球を見ていなくても勝てるわけですから、ほぼチートです。




そして、続けざまに「2年生の夏の甲子園とか2番打者だったしね」などと、高校時代のエピソードを軽く追加すれば、もうその場は完全に焦土と化します。

焦土と化したその土地に、自分の旗を立ててそれを国旗とし、傀儡政権を樹立させて、独裁政治を敢行し、テクノサウンドとジャズと女性の叫び声を融合した不協和音を国歌だと言い張ったとしても、国連は一切の口出しをしてきません。



いや、口出しできないのであります。



なぜなら当該選手のマチュア時代を知っているからです。






大丈夫です。言ってる意味がわからないのは私も一緒です。



ちなみに、夜のお店だと「〇〇選手と寝たことあります」という青眼の白龍より最強なカードを持っている猛者がごく稀にいますので、注意が必要です。いくらアマチュア時代を知っていたとしても、さすがにそれには勝てません。(過去3人ほどそのカードの持ち主に会ったことがある)







私は、以前は夏になると東京、神奈川、千葉、埼玉の甲子園の予選大会を巡っていた時期があり、一番憑りつかれていたときは3日連続でヤクルトのスカウトの斉藤宜之氏を球場で見かけるということもありました。行動がほぼスカウトでした。

(ちなみに、そのときに生で見たのが日ハムの上沢投手で、私は上沢投手のトークになったら、熱狂的な日ハムファンでも鎌ヶ谷の大仏と同じくらい存在感を小さくすることができるわけです)

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※日ハムの2軍球場の近くにある小さい大仏


また、高校野球以外にも慶應大学明治大学・法政大学あたりのグラウンドもよく通っていました。

 



そんな私が、数年前にヤクルトファンの友人に誘われて神宮球場に行った際に、試合に出ていた若手選手はほぼアマチュア時代を知っているというような状況でありました。

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勿論、そのときの私は、羨望の眼差しを向けられたい欲求が全開に解放され、試合中、これでもかというくらいに各選手のアマチュア時代のエピソードを披露しまくりました。

 

飯原が大学選手権で巨人の福田から打ったホームランの話


中澤は大学時代は怪我してからパッとしなくなったという話


武内は大学時代から守備が抜群に上手かったという話


小川は大学時代を見る限りリリーフ向きだと思った話



等々、とにかく話の内容は浅いが、昔から知っているという1点突破で ヤクルトファンの友人相手に雄弁に語るわけです。なんなら、友人だけでなく、周りのヤクルトファンにも聞こえるくらいの声量で熱弁を振るうわけです。

知識のひけらかしがあまりに気持ち良くて、恐らく軽くカウパー腺液が漏れていたと思います。

 




 

うん、まぁ、結果的に2度と誘ってもらえなかったんですけどね。

 









さてさて、今年もこの週末から、大学野球日本一と高校野球日本一を決める全国大会、神宮大会が開催されます。

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あのマー君ハンカチ王子が最初に投げ合ったのが神宮大会です。

2年生のダルビッシュ見たさに平日の神宮に女子高生が大挙して押し寄せたのも神宮大会です。

九産大の野球部が出ると、応援席でスコアブックをつける松村邦弘が見られるのも神宮大会です。




神宮大会で目撃したものは、5年後10年後のプロ野球観戦時に知識をひけらかす上での大きな武器となります。この時期の野球観戦は寒いですが、アマチュア時代を知っているという最強カードを手に入れたい方はぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。